終盤を迎えた国会が混乱、緊迫している。金融機関に返済猶予などを促す中小企業金融円滑化法案をめぐり、与党が衆院で初めて採決強行に踏み切ったからだ。
「変革」を訴えて誕生した鳩山政権は、国会で官僚答弁に頼らないなど清新なイメージが伝わってきた。しかし、初となった衆院通過法案を強行採決したという事態を、有権者はどう受け止めるだろうか。
攻守ところを変えた民主、自民両党に言い分はあるようだが、過去に繰り返された場面が再現された形になった。残念としか言いようがない。
混乱の発端となった円滑化法案は、18日に衆院で審議が始まった。翌日には早くも採決に入り、抗議する自民、公明両党が欠席や退席したまま財務金融委員会、本会議とも民主党などの賛成多数で可決された。
民主党は「十分審議した」、自民党は「審議時間が足りない」と主張する。印象的だったのが財務金融委員会の玄葉光一郎委員長の感想だ。「会期を延ばせるなら、もっと審議ができたのに」と歯切れが悪かった。
もともと民主党内には当初から国会日程が窮屈だとして、30日までの会期を延長すべきとの声が上がっていた。だが、小沢一郎幹事長の判断で延長は見送られたとされる。
難航が予想される2010年度予算の編成に注力するための措置といわれるが、説得力に欠ける。首相や小沢氏の「政治とカネ」にまつわる疑惑隠しと勘繰られても仕方あるまい。
混乱は尾を引いているが、郵政民営化の見直しにつながる法案など徹底審議が期待される法案がたくさんある。国会は議論を通して合意形成を図る場である。会期にこだわらず、丁寧な審議を優先すべきだろう。