だれかの言葉が、その後の人生を決めることがある。岡山市出身のテノール歌手・滝賢一郎さん(42)は最初に、小学校の先生の言葉に導かれた
歌をほめられ、「あなたのできることで人を喜ばせなさい」と言われた。歌を好きになり、桃太郎少年合唱団に入った。岡山大安寺高の時から本格的に歌を習い、国立音楽大声楽科へ進んだ
卒業後にオペラ研修所などを経て、イタリアで2年間、有名オペラ歌手に習った。「不器用」と言う滝さんを長い目で見てくれる人で、マンマ(母)と慕った
帰国後、目標を失って漫然とバックコーラスなどの仕事をしていた時、マンマが病に伏した。いまわの際に駆けつけ、言葉を掛けられた。「あなたは周りより10年遅れているのだから、10年長く人のために歌っていなさい」
気持ちが吹っ切れたという。クラシックとポピュラーが融合したクラシカル・クロスオーバーの分野で、ソロ歌手として活動することを決め、昨年自主制作のCDを出した。今年は名字を大瀧から滝に変え、今月ファンクラブもできた。来年は本格デビューとなるCDを出す予定だ
先日、東京で開いたコンサート。滝さんはマンマへの感謝を込めた曲を歌い上げた。人生は遠回りでも構わない。そんなメッセージが伝わってきた