美術家の岡本太郎が縄文土器の造形に、大地に息づく民族の生命力を感じ取ったのは半世紀以上も前のことだ
「からだじゅうがひっかきまわされるような気がしました。やがてなんともいえない快感が血管の中をかけめぐり、モリモリ力があふれ、吹きおこるのを覚えたのです」。縄文土器に出合った印象を、かつてこう記していた
岡山市の県立博物館で開催中の「土と火のオブジェ」展。燃え上がるようなダイナミックな装飾が施された縄文時代の「火焔(かえん)型土器」を前に、同じような土俗的エネルギーのほとばしりを感じた
古代から現代に至る焼き物の流れを造形の視点でたどる会場は、実に刺激的だ。奔放な躍動感が脈打つ東日本の“縄文ワールド”に対し、静的な造形美を生み出したのが西日本の弥生人。吉備の「特殊器台」は特異な文様と透かしで独特の存在感を放つ
土偶が発する神秘性、古墳を飾る埴輪(はにわ)の多様な表現も目を引く。中世以降は須恵器をルーツに生まれた備前焼を中心に、瀬戸、丹波など六古窯を彩る陶芸の美の変遷がたどれる
悠久の歴史の中、土と火が織りなす造形美に挑み続けた人々の創造力から学べるものも多かろう。“古代のかたち”と対話すれば、作品に込められた祈りのメッセージも伝わってきそうだ。